未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
* * *



「え゛ーっ!!」


そんな叫び声を上げてしまったもんだから、クラスメイトの注目をまたも集めてしまった。

でも、だってだってっ……昼休みが終わって席に戻ったら ──


「湊ちゃん、どした?」


は?
……湊、ちゃん?


これが初めて交わす会話だっていうのに。あたしの名前を気安く呼んだのは、左隣に座る吉井 尚太。

でも、こっち側はそれほど問題ないんだ。
むしろ “問題あり” なのは──


「ど、どうしてくっついちゃってんのー?」


目いっぱい動揺しながら溢れでた問いかけに、右隣に座る彼が答えた。


「次って古文でしょ? 忘れちゃったんだ教科書。だから一緒に見てもいい? 」


当たり前のことのように、それでいて少しだけ遠慮がちに聞き返された。

でも!

いい? なんて言っても、とっくに机を付けちゃってるくせに。

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