未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

いきなりガバッと上半身を起こした彼は、あたしの手首を握る手に一層力を込めた。

そして―――


「キャッ!!」


強引に引き寄せられ、動きを封じられた体。

うそ、なんで。
あたし、辻之内に……抱きしめられてる………?


ギュってされてる腕の温度が、リアル過ぎるくらい伝わってきて。

一瞬にして頭の中が真っ白になる。
なのに、胸の中は爆発しそうで―――。

どうすればいいの、この状況。この密着感。
近い!なんてもんじゃないよっ。


すぐ傍にある窓から、光が差し込んでいる。

あたしを抱きしめている力を少し緩めた辻之内。

西日に照らされた表情に、さっきまでのボーした感じはもうなくて。真っ直ぐ見つめてくる凛とした眼差しとか、ハンパないほどに美しすぎて―――

それはヤバいくらいに………そう、ヤバいくらいにあたしをドキドキさせた。

< 122 / 406 >

この作品をシェア

pagetop