未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
いきなりガバッと上半身を起こした彼は、あたしの手首を握る手に一層力を込めた。
そして―――
「キャッ!!」
強引に引き寄せられ、動きを封じられた体。
うそ、なんで。
あたし、辻之内に……抱きしめられてる………?
ギュってされてる腕の温度が、リアル過ぎるくらい伝わってきて。
一瞬にして頭の中が真っ白になる。
なのに、胸の中は爆発しそうで―――。
どうすればいいの、この状況。この密着感。
近い!なんてもんじゃないよっ。
すぐ傍にある窓から、光が差し込んでいる。
あたしを抱きしめている力を少し緩めた辻之内。
西日に照らされた表情に、さっきまでのボーした感じはもうなくて。真っ直ぐ見つめてくる凛とした眼差しとか、ハンパないほどに美しすぎて―――
それはヤバいくらいに………そう、ヤバいくらいにあたしをドキドキさせた。