未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
ベッドの上、後ろに手をつき体を反らせた辻之内と座ったまま硬直してるあたし。
互いに丸く見開いた目を合わせ、かたまっていた。
またもドキドキと騒ぎだす胸の中。でも、さっきまでとは意味の違うドキドキだけど。
身動きもせずに、ただ黙って見つめ合っていた。
そして数十秒の後、先に沈黙を破ったのは、辻之内のこんな一言だった。
「あ、そっか。時田、来てたんだよな」
え……?
一瞬、頭の中がショートした。
やっぱり寝ぼけてたんだ……なんて、納得はできない。まさか、あたしを自宅に招いてた事実ごと忘れてたなんて。
それから彼は、妙に納得したように何度もうなづいてから、やがて落ち着きを取り戻した様子で座り直した。
それを眺めてたあたしは、ふと思いついたんだ。
「……ねえ?」
「ん?」
「あのね、もしかしてさっき、夢でも見てた?」
そう尋ねたら辻之内は、誤魔化すみたいに鼻で笑って立ちあがったんだ。