未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「あいつはさ、ここん中に“天使”が住みついてるらしいから」
軽く笑った吉井が、胸のまん中をトントンって叩いた。
「天使?」
リカとあたしの声が揃う。
「らしいよ。その天使のことが、今でも忘れられないらしい」
「それって、王子の片想いってこと?」
詰め寄るリカ。
でも吉井は、さーどうだろうな、なんて鼻で笑って。
「なによー。もったいぶらないで教えなさいよ!」
更に問い詰めるリカに、そうだ、じれったいぞ。ハッキリ言え!と、あたしも心の中で拳を握りしめた。