未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「だからさ、湊ちゃん」
妖しくニヤリなんてして、ジリジリとにじり寄って来る吉井。
「……なに?」
「俺達、このまま付き合っちゃうなんてどお? 湊ちゃんって、まだフリーなんでし──」
「もーお! ホントっ、邪魔!」
まだ言い終わっていないのに、吉井の言葉にフタをするリカ。しかも、また頭を押さえつけてるし。
「ちょ、痛ーよっ」
「アンタの気が多いのは十分わかったから、無駄に口説くのは他でやってよ!
そうだ! ね、辻之内はどうなの? 特定の相手はいないの?」
唐突にリカが口にしたその問いかけに、あたしの心がピクリと反応した。
「あ~、葵?」
「そうそう。いつも黄色い声を浴びまくってるはいるけど、そういう噂って耳にしないよね?」
うん。確かに聞いたことない。
「まーな、あいつは……」
んん? その意味有り気な言い方は何?
「なによー?」
さあさ、リカちゃん聞いちゃって?
……って、何をそんなに興味津々になってんだ、あたし。