未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
券売機の上の運賃表を眺め、えっと……と呟いた辻之内。
そして間もなく、あった!と振り返り笑顔を見せた。
「どこへ行くの?」
「まだ内緒。今回のプランは、すべて俺にまかせてって言ったよ?」
「そうだったね」
答えながらあたしの目は、辻之内の”線”をなぞる。
いつもはサラサラヘアなのに、今日はクシャっと毛先を遊ばせてて、それだけで最初に会った時にドキッなんてしてしまったんだ。
それから半袖のシャツから伸びる腕や手首……そして──
「時田、どうしたの?」
「え」
「電車が来ちゃう。行こ?」
「うんっ」