未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

券売機の上の運賃表を眺め、えっと……と呟いた辻之内。

そして間もなく、あった!と振り返り笑顔を見せた。


「どこへ行くの?」

「まだ内緒。今回のプランは、すべて俺にまかせてって言ったよ?」

「そうだったね」


答えながらあたしの目は、辻之内の”線”をなぞる。

いつもはサラサラヘアなのに、今日はクシャっと毛先を遊ばせてて、それだけで最初に会った時にドキッなんてしてしまったんだ。

それから半袖のシャツから伸びる腕や手首……そして──


「時田、どうしたの?」

「え」

「電車が来ちゃう。行こ?」

「うんっ」

< 151 / 406 >

この作品をシェア

pagetop