未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「どうして?」と顔をのぞきこまれる。
「もしかして怖い?」
「……う、うん」
はい、正直いって怖いです。
気持ちよさそうなんて言っておいてなんだけど。
「それじゃあ……あれは?」
辻之内の細長い指が空を指す。
赤を基調とした鮮やかな配色の丸い影──それは、熱気球。
ここから眺めているだけならいいけど、あそこに自分が乗っていたら──なんて想像しただけで寒気が走った。
「気球かー。ちょっとね……」
すると辻之内は、うーんって困り顔をしてから言った。
「時田、俺ちょっとヘコんでいい?」