未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

たったいま封筒を置いたその後で、あたしは歩道脇の花壇の隅に座りこんだ。

お気に入りのLIZ LISAのスカートが汚れるかもだけど。
でも、疲れたよ。


「どうかした?」


振り向いた辻之内が屈んで顔をのぞきこんでくる。

こんなに暑いのに彼の顔は、全然汗ばんでいない。さすが、王子なんて呼ばれるだけあるよね……。


「とーきた?」

「……歩けない…」

「え?」

「暑いし疲れたもん!
それに、さっきから何やってんのか全っ然意味わかんないしっ」


気がついたらあたしの頬っぺはプッて膨らんでた。そんな自分にちょっと戸惑う。

だって、あたしってこんなキャラだっけ?
こんな拗ね技、持ち合わせてなかったはずなのに……。

きっとこれもこの暑さのせいだ。
そうだよ、じゃなきゃおかしいもの。

< 159 / 406 >

この作品をシェア

pagetop