未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
たったいま封筒を置いたその後で、あたしは歩道脇の花壇の隅に座りこんだ。
お気に入りのLIZ LISAのスカートが汚れるかもだけど。
でも、疲れたよ。
「どうかした?」
振り向いた辻之内が屈んで顔をのぞきこんでくる。
こんなに暑いのに彼の顔は、全然汗ばんでいない。さすが、王子なんて呼ばれるだけあるよね……。
「とーきた?」
「……歩けない…」
「え?」
「暑いし疲れたもん!
それに、さっきから何やってんのか全っ然意味わかんないしっ」
気がついたらあたしの頬っぺはプッて膨らんでた。そんな自分にちょっと戸惑う。
だって、あたしってこんなキャラだっけ?
こんな拗ね技、持ち合わせてなかったはずなのに……。
きっとこれもこの暑さのせいだ。
そうだよ、じゃなきゃおかしいもの。