未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「ねぇ、辻之内?」
「ん?」
「よかったら一緒に夏祭りに行かない?」
あたしは、もともとイベント好きな方ではない。
かといって嫌いってわけでもないけど、人ごみとかあんまり好まなくて“メンドクサイ”って思ってしまうんだ。
でも、辻之内を誘ったのは思いつきではあったけどリカの話を思いだしたせいと、それから“もっと一緒にいたい”って、そう強く思う胸の内からだった。
「それっていつ?」
後ろからあたしの首すじにキスをしながら、辻之内が訊き返してくる。
「えっと明後日。夏休み最後の日だよ」
「うーん、明後日か……」
「なんか予定入ってた?」
「ごめん。その日はどうしても抜けられない用があるんだ」
「そっか……それなら仕様がないね」
明るく返しながら、ちょっと切なくなった。