未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
キンコーン カンコーン……



黒板の左上に付いてるスピーカーから、ベルが鳴り響く。



「あ~あ。昼からの授業、ダルすぎー。湊、話の続き、あとでちゃんと聞かせてよ?」


「う、うん」



席に戻っていくリカを目で追いながら、どうしてもチラ見してしまう。

視界の隅に入る、その席を。



「はぁー」


ため息って、つくたびに何かがあるって言われてなかったかな。

覚えてないけど、良くないことには間違いないはず。



なんなの? この状況……。


朝の、謎の美女の送迎に始まり、

辻之内ってば、女子達に取り囲まれて近づけやしないし。


席替えしただけでこんなに遠く感じる。


夏休み中のことは、まるでなかったみたいに。


あれは、夢かマボロシだったの……?
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