未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*


次の日も、辻之内は学校へあの車でやって来た。


見たくはないから、あたしは敢えて窓際には立たなかった。


それでもみんなが騒ぐから、いやでも話は聞こえてきて。

状況はそれなりに想像できたけど。


想像なんてしたくもないのに。


それに昨日と同じで、教室へ入ってきた後も囲まれてるし。


そんな姿、見たくもないのに。


席替えじゃなくて、クラス替えしちゃってよっ

って気分になる。




昨日は結局、一言も話さなかった。

っていうか話せなかった。


放課後になるまで彼のまわりは、取り巻きでいっぱいだったし。


放課後になったらなったで、あたしはキジモンに呼びだされて。

研究発表会のクラス代表として、集会室での集まりに参加したわけだけど。


もうクラス代表なんて、どうでもよかった。

早く帰りたかった。



本当は辻之内の顔が見たかった。


話がしたかった。
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