未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「それでね、ナカジーが湊も一緒にどうかって……
ねぇ~湊ぉ、聞いてる?」
あたしの顔を下から覗きこんでいるリカと目が合って、我に返った。
放課後の教室。
次々とクラスメイト達が帰って行く姿が、目に映る。
「えっ あぁーごめん。なんだっけ?」
「もうっ やっぱり聞いてなかったんでしょ?
どうしたの? なんだか湊、一日中ヘンだよ」
“一日中ヘン”か……。
そうかも。
リカの言う通りかも。
英語の時間だってあてられたのに聞いてなくて、ジミーに注意されちゃったし。
授業中も休み時間も、気になることはただひとつ。
だから、他のことには上の空になってた。
目は自然とその姿を追って、
耳は、小さな笑い声も聞き洩らさないようにしてて。
そして頭も心も、四六時中思うのは……
辻之内が、辻之内のことが気になって。
気になりすぎて、苦しいくらい。