未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「それにしても工藤って、よっぽど中島のことが好きなんだな」
あたしの歩調に合わせて歩く林田くんが笑いながら言った。
「うん。いっつもナカジー、ナカジーって言ってる」
「あの二人、うまくいけばいいのにな。
それで中島もマジメになればいいんだけど」
「…?」
見た目は、ちょっとコジャレたガリ勉ふうなナカジー。
マジメじゃないふうにも見えないんだけど、どういう意味だろ?
不思議で訊き返したら林田くんは
「いや、なんでもないんだ」
って慌てた素振りでごまかした。
「家に帰ってからも、ちゃんと冷やしたほうがいいから。寝るときは足の下に何かをひいて心臓がある位置より高くして。それで明日になっても悪いようだったら、病院に行ったほうがいいよ」
「さすが運動部だね。ありがと」
見上げると、彼はちょっと顔を赤くして笑った。
「ここでいいよ。家、もう近いし」
「そんな足してるんだし、ちゃんと送るよ」
そんな会話を交わしながら角を曲がろうとした時。
近くの花屋さんから出てくる人影に目を止めた。