未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

「それにしても工藤って、よっぽど中島のことが好きなんだな」


あたしの歩調に合わせて歩く林田くんが笑いながら言った。


「うん。いっつもナカジー、ナカジーって言ってる」


「あの二人、うまくいけばいいのにな。
それで中島もマジメになればいいんだけど」


「…?」


見た目は、ちょっとコジャレたガリ勉ふうなナカジー。

マジメじゃないふうにも見えないんだけど、どういう意味だろ?


不思議で訊き返したら林田くんは

「いや、なんでもないんだ」

って慌てた素振りでごまかした。



「家に帰ってからも、ちゃんと冷やしたほうがいいから。寝るときは足の下に何かをひいて心臓がある位置より高くして。それで明日になっても悪いようだったら、病院に行ったほうがいいよ」


「さすが運動部だね。ありがと」


見上げると、彼はちょっと顔を赤くして笑った。


「ここでいいよ。家、もう近いし」


「そんな足してるんだし、ちゃんと送るよ」



そんな会話を交わしながら角を曲がろうとした時。

近くの花屋さんから出てくる人影に目を止めた。
< 268 / 406 >

この作品をシェア

pagetop