未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
背の高い二人連れ。


女の人は、今日はちゃんとメイクをしてて。

シャーリングのかかったミニパンツの上に、メンズ物のシャツを羽織っている。

この前は、スッピンでバスローブだったけど。


そして並んで出てきた彼は、腕にラッピングされた花かごを抱えていて。

ミルクブラウンの髪を風に揺らしていた。


彼女が着ているシャツがメンズ物だってすぐにわかったのは、それが彼の物だって知っているから。

あのシャツを着た彼に会って、一緒に過ごしたことがあるから。



「ごめん。やっぱりこっちの道から行こ?」


慌てて引き返そうとしたら、足首がズキッて痛んだ。


それでも絶対、顔を合わせたくない。

彼女といるときに、一緒にいるとこなんて見たくない。


林田くんの袖を摘まんで、あたしは来た道を戻った。



「急にどうかした?」


いぶかしげな表情で尋ねてくる林田くんの後ろに、車に乗り込む二人の姿が見えた。


見たくないって思っても、目で追ってしまう。

胸が締め付けられるように、痛く苦しい。



「時田?」

「…なんでもないから」

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