未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
もうほとんど癖になりかけている、こぼれそうになったため息を飲み込んだ。



「ねぇ 王子っていえばさぁー、ホントはF高志望だったって知ってた?」

「F高ー!? マジでぇ~」



“F高”とういうのはこの辺りでも“超”がつくほどの名門高で。



「らしいよ。2次募でウチの学校へ来たとかって聞いたー」

「へぇ~、そうなんだぁ」



着替えを終えたらしい彼女達の声が、遠ざかっていく。


静かになった部屋の中であたしは一人、さっき見た辻之内の切なげな瞳を思いだしていた。



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