未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*


部屋の中へ入ると、ナカジーはまだ戻っていないみたいで。


リカと林田くんの二人が、昨夜視たテレビの話題で盛り上がっていた。



「ねぇ 湊ー。ナカジーに会わなかった?」


何気ない問いかけに、肩がビクっと震えそうになった。


「ううん…会わなかったよ」



動揺を悟られないように、できるだけ単調に言いながら


ナカジーが来たら、どんな顔をしたらいいんだろう ――


って考えてた。



「それにしても遅いね~。
あたし、ちょっと見てくる!」



部屋を出ていくリカの背中を見つめながら、胸がざわつく。


ナカジーがリカにおかしなことを言わなきゃいいけど……。


できれば、さっき聞いたことは一言だってリカには知られたくない。

絶対、聞かせたくない。
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