未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
ちょっとコワイけど。

いやっ かなりコワイんだけどー。



でもそのまま逃げるわけにもいかず。

恐る恐る近づくと……



助手席から降りてきたカノジョが、あたしの腕を素早く且つ強引に引いて。


気がつけば、後ろの席のシートにボスっと沈みこんだ、あたしの体。



スモークで見えなかった座席に辻之内の姿はなく。


(えっ いったい何がはじまるの……?)


湧きあがる疑問と共に、予期せぬ事態のせいで縮こまってしまう。


だけど、そんなのお構いなしなのか

助手席のカノジョが運転席に向かって言った。


「いいよ。出して」



――― って、どこ行くのーーーっ!!?


心の中でいくら叫んでも、それは声にならず。


膨れ上がる疑問と恐怖心を抱いたままのあたしを乗せて、車が発進した。

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