未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
極度の緊張に体が硬直する。
ゆっくりと唾を呑みこむと、ゴクリと喉が音を立てた。
その車は前に、辻之内が送ってもらってきてたやつで。
広い車内にベージュのレザー貼りの座席。
カーコロンのにおいがちょっとキツイ。
いや、それだけのせいじゃないよね、これってきっと。
助手席から漂ってくる香水のにおいも混ざってるからかもしれない。
さっき見えなかった運転席には、結構マッチョ系な人物が座っていて。
誰なのかなんて、わかるはずもないけど。
ぶっといタトゥー入りの上腕が迫力ありすぎて。
それだけであたしの体を震えさせる。
それにしてもなにか言ってくれませんか?
固まりすぎて、体のあちこちが痛くなってきた。
幼なじみのカノジョは、あたしのことを覚えているのだろうか……?
覚えているから車に乗せられた?
だとしたら何が目的?
なになになにっ!!?
どこへ行くのーーーっ