未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「あのぉー、こっ ここはぁ?」


めいっぱいの緊張とそれなりな恐怖で、あたしが発した声は“蚊の鳴くような”ってやつで。


「は?」


振り向いたマッチョ系オネーサンにギロリと睨まれた。


コッ コワイ~~~!!!

そしてデカイーーーッ!!!


背も高すぎで体格も良すぎで、目つきもタトゥーもすべてがコワイよっ。



「ちょっとリサ、このコ怯えてるじゃないのよ? もっと優しくしてあげなさいよ」


辻之内の幼なじみのカノジョが微笑しながら言った。


(マッチョ系オネーサンの名前“リサ”っていうんだ……)

それを確認したあたしは、やっぱり女子だったんだって今更ながらに思った。



「別に怯えさせるようなことしてないって。
風貌も態度も元からこんな感じなのは、ココならわかってるはずだよ」


ぶっきらぼうな態度でリサさんが言う。


(幼なじみのカノジョの名前は“ココ”ね……)

それはニックネームなのかもしれないけど。


背の高さといいハッキリとした顔立ちといい、やっぱり二人ともハーフなのかな。


それにココさんは“大人の女”って言葉がピッタリな色気に溢れてる感じで。



彼女が、辻之内の好きなヒトなんだよな ――


改めてそんなことを思って、胸のあたりがチクンと痛んだ。
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