未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

｢じゃあココさんは……｣


あたしが言いかけた時だった。



ガタッ ゴトン！


もうひとつの部屋へとつながるドアの向こう側で、変な物音がして。

驚いて思わずギュって辻之内にしがみついた。


そしたら彼はあたしに向かって人差し指を唇にあてて、そっとドアに向かって歩きだす。


そっとレバーを握り一拍待ったあと、ドアを押す。


さっきまでいくら押しても動かなかったのに。

勢いよく開いたドアの向こうで、床に転げてるココさんとリサさんの姿。


そしてその傍には、不自然な場所に置いてあるキャビネットが。


（まさかこれをドアの前に置いて、開かなくしてたの？）


転がったままの二人を仁王立ちで睨みつける彼は、いつものような“王子様”の顔じゃなくて。

辻之内ファンが見たら、さすがに引くかもぐらいの表情。



｢こんなとこ閉じこめるなんて、なにがしたいんだよ？｣


そんな辻之内にココさんのほうも、さっきまでの大人な雰囲気は薄れていて。