未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

え。なに?


どうしよ。
なんか、動けないっ。


「時田は髪、染めたことないの?」


辻之内の指があたしのこめかみの辺りに触れ、そのまま髪の中へ潜り込む。

手櫛をするようにスーっと滑り落ちて。
そして、細い毛束を長い指に絡め目線を合わせられた。


「でも、このままの黒髪が時田には似合ってる。うん……可愛いよ」


トクントクン、トックン………

トクトクトク──


心臓がビックリするくらい早く鳴って、顔とかよくわかんないけど体の奥とか色んな場所が熱くなった。

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