未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

流れる景色を目で追いながら、ベッドの上で言い合った時のことを思いだしていた。



『好きで好きでどうしようなくて………

やっと伝えられたのに通じあえたって思ったのに。

離れてくなよ……こんな好きなのに』



あの告白をあたしは一生忘れないかも、なんて思う。


切なげな表情を浮かべ、訴えるように言ったあの言葉を。

あの時の彼を。



想いが通じ合えたってことは……


あたし、辻之内のカノジョになるってことかな?


でもそれって、かなりヤバイよね。

なにしろ王子様だもんね。


騒がれちゃうかな?

辻之内ファン多いしなぁ~。



でもいざという時は、ちゃんとあたしのこと守ってね?

だってあなたはあたしの、あたしだけの王子様なんだから。


……なんて。



やわらかな髪をそっと撫でると、少しだけ動いた彼は、すぐにまた静かな寝息を立て始めた。




< 380 / 406 >

この作品をシェア

pagetop