未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
それから吉井といえば……


辻之内とあたしがこうなる前から、それぞれの気持ちに気づいていた唯一の人物で。


当人達が相手の気持ちが掴めずに迷走してた間、それをただ見守っていたっていうか。

傍観してたっていうか、なんかそうみたい。


それを知ったリカが

『どうして言ってあげないの!?』

って吉井を責めたけど。


吉井は悪びれることもなく。

『そんなの本人達が見つける答えじゃん』

なんて言ってのけたんだ。


その時あたしは、いつもはただナンパなだけな吉井が、ちょっと大人に見えたんだけど。


でも、いつも通りに女のコとデレデレしてるとこ見かけたら。


やっぱりただの“エロ”だって。


と思い直した、ってわけ。


< 383 / 406 >

この作品をシェア

pagetop