未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

あんな風に、まるで辻之内の存在を無視するみたいに、なんの言葉も掛けずに逃げるように帰るなんて。

辻之内、あたしのこと変に思ったかな?


……でも!

それもこれも、辻之内があんなことしたせいなんだ!!


「………」


放課後のあのシーンが甦る。

二人っきりの教室での、今までで一番近くで見た辻之内の瞳が ──

あー! 思い出しただけで赤面しちゃう。
顔、熱っつー!!

どうしよ。今日のことリカに話そうかな?


と、そこでリカの反応を思い浮かべた。言われる言葉も。


『ねぇ、それでその後どうなったの?』


え。その後?

その後は………特に、なんにもない。かも。

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