未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
えっ、10時10分!?
「ちょっと二時間目始まってるじゃないっ」
あたしがこんなに慌ててるというのに辻之内は、またも表情ひとつ変えずに答える。
「って、さっき起こす時に言ったけど」
もう、だからなんなの! そのマイペースさは!!
それに、まだ夢の中で微睡んでいた時に掛けられた言葉なんて覚えてないし。
「保健の先生は?」
「俺が入ってきた時からいなかったよ」
「そう」
っていうか、
「辻之内、授業は?」
「時田のこと起こしてたら、チャイム鳴っちゃって」
鳴っちゃってって、あのね~。
「じゃあ、なんであたしを起こしに来たの?」
そうだよ。しかも一人で。
「それは、雉本に伝言頼まれたから」
「……伝言?」
「うん。時田が戻って来たら伝えといてって。でも戻ってこないから様子見に来たんだ。
そしたら時田、こ~んな大っきな口開けて寝てた」
──って、そこで王子様スマイルしないでよ………っていうか辻之内に寝顔見られたーっ!!