未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

「上側にあるのはちょっと難しいけど、下のは比較的読みやすいから適当なの読んでよ」


でも適当なのと言われても、どれがいいのかさっぱりわからない。


「ねぇ、どうしてこんなに心理学の本があるの?」


不思議に思って訊いた。だって普通、こんなに家にあるはずがない。


「それは、全部うちの親父の本なんだ。大学で心理学を教えるのが彼の仕事だからね」


さらっと答えたけど。それってつまり、お父さんは大学教授ってこと?
………すごいな。


「じゃあ、ここにあるのって全部心理学の本なの?」


すると辻之内は小さく笑った。


「違うよ。そんな小難しい物ばかりじゃないよ」

「そっか……ねぇ、他の棚も見ていい?」

「遠慮なくどうぞ」


それではと、本棚に沿って歩きだす。

辻之内の言う通り心理学の本ばかりではないけど、その隣の棚にも学術書とか専門的な本が並んでいたり………と思ったら料理本って、いきなり分野が変わるなぁー。

その隣からはインテリア関係の本が続く。しかも、これも数が多い。


「これは?」

「そこは母親の仕事関係。小さいけと、そういう会社やってるんだ」


へぇー。
お父さんは大学教授で、お母さんはインテリア会社経営か………格好良すぎだよ。

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