未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
地下へ降りて通された部屋の広さは、二十畳くらい。
地下室だから当然窓はなく、驚いたのは壁一面がびっしり本棚になっていること。
一部の壁面を除いて、すべて本で埋め尽くされてる。まるで図書館の一角みたい。
「ここは、我が家の書庫なんだ」
そう言って彼は、部屋の真ん中に大きな机と共に置かれた椅子のひとつに腰を掛けた。
本棚以外の家具は、その長い机と椅子が1、2、3……8脚のみ。
「……図書館みたい」
「そお? えっと心理学の関係は…………いま時田が立ってる右側の棚かな」
言われたその辺りへ視線を運ぶと──本当だ!あるある。
『〇〇心理学』『心理学に於ける〇〇』『社会心理学入門書』
溢れんばかりに“心理学”の文字が並び、ちょっと目眩がしそうなくらい。