未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

*ドキドキが止まらない

 *


「どお?」

「美味しぃ~♪」


目の前にはほっかほかのピザと、ペットボトルの紅茶が2本。

あたしの胃袋が鳴いたのを合図に、ちょうどよかったって辻之内が持って来たのがこれ。

アツアツトマトにトロトロチーズ、バジルの香りがなんとも良い感じ。

ピザなんて言っちゃ怒られそう。時々あたしが口にするヤツとはちょっと違う。もっと本格的な、ピッツァって言わなきゃ失礼だと怒られそうな代物だ。


「これ、辻之内が焼いたの?」

「焼いたっていっても、出来てる生地にポンポンって乗せてオーブンに入れただけだから」


それでも男のくせにスゴいじゃん。

あたしなんて自慢じゃないけど、玉子焼きひとつ、クッキー一枚焼けないっていうのに。


でも、なんか不思議。

あの辻之内と、『王子~♥』なんて言われてる辻之内 葵と、こんな風に一緒にゴハン食べてるなんて。

しかもここは彼の家、そして二人っきり。

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