未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
だけど、多分またも顔が真っ赤になっちゃてるあたしを尻目に王子様はクールに言うんだ。
「昨日学校で紛れ込んだのかな。代わりにボールペンが一本見当たらないんだけど、時田のとこになかった?」
さっきと違って今度はシレっとした態度で。
「ううん、なかったけど」
「そっか」
そして、王子の異名にピッタリな柔和な笑みを浮かべた。
聞いていたリカが、なんだ、そういうこと。と納得顔でうなづいて。
「それより吉井!よくもナカジーのこと悪く言ってくれたね!」
吉井の耳からiPodのイヤフォンを抜き取った。
「なにすんだよっ?」
「話を聞きなさいよ!」
その時、リカと吉井が言い合ってる反対側からクスッと笑い声が漏れて。見ると、辻之内が意味あり気な顔でこっちを見てた。
ちょっとだけニヤリとして、超がつくようなズル顔。全っ然、王子様みたいじゃないんだけど?
もう、さっき “俺の部屋”だなんてわざと言ったでしょ?
昨日のお礼を言わなきゃいけないって思ってたけど………朝一からS度全開でイジワルしてくるんだったら、ありがとうだなんて絶対言ってやんないんだから。