未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

そこにはこう書いてあった。


“放課後の予定は?”


今度は、あたしの動きが止まる。

横目でちらりと隣の様子を伺ってから、教科書の隅にペンを走らせた。


“なにもないけど”


机の右端へ押し出す。

それを特に表情も変えずのぞき込んでいた彼は、また自分のノートに何やら書き始めた。

それをわかっていながら素知らぬ顔して前を向く。なんだか、胸がざわついて落ち着かない。


「それじゃここを………松井、訳してみて?」


教壇の上のジミーの声。

耳には入ってくるんだけど、右隣が気になって反対の耳からすぐに抜けていく。

辻之内がなんて書いてくるのか気になって──

とそこで、トントンって机を指で叩く音がして顔を向けた。

< 96 / 406 >

この作品をシェア

pagetop