悪魔なキミと愛契約


チヅルさんと庭で別れたあと

ずっと考えてた。


どうしたら、ルカに近づけるんだろうって。


完全に心を閉ざしている今のルカに、私が何を言ってもきっと逆効果になるだけ。

このままだと、どんどん距離があいてしまう。


何をしたら一番いいんだろうって。

考えた結果、ルカの幼い頃の記憶を呼び戻そうって思ったの。


今はああやってツンツンしてるけど

幼い頃は、純粋にチヅルさんを好きだったはずだ。


母親を嫌いな子供なんていない。


きっと、ルカだってチヅルさんの肌に触れて遊んでいたに違いない。


まず、第一の作戦として

小さい頃に作ってもらったであろう、おにぎりを作ることにした。


ルカはどうか知らないけど、私は小さい頃お母さんの作るおにぎりが大好きだった。


ただ塩だけのおにぎりだったけれど、お母さんのマネをして一緒に丸めて作ったりもした。


人間だろうが、悪魔だろうが。

私達のお母さんは、同じ日本で生まれたんだ。


絶対に、チヅルさんはルカに“おにぎり”を作ってあげたんじゃないか?

って、そう思ったの。


もしそうじゃなかったとしても、やらないよりはマシでしょ。



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