ダルターニの長い一日
ダルターニの長い一日
ここは、ハーリーが父に内緒で、よくシュレイツと勉強をサボっていた、城の裏庭。

人気の薄い裏庭に立ち並ぶ大木。一番隅にある木の根元辺りに人が1人~2人位は入れる穴がぽっかり空いている。

ここが、ハーリーとシュレイツの秘密の場所である。



毎朝早く、召使達が洗濯物を干し、夕方近くには乾いた洗濯物を取り込んでしまうと、人の行き来が無くなる、ひっそりとした庭になるので、裏庭へ来る者など、そう滅多な事は無い。

もし、仮に誰かが通り過ぎても、まさかこんな隅の木の根元に王子が隠れているなんて思うわけも無い。

ハーリーの、家庭教師兼世話役でもある侍従、シュレイツがいなくなってからも、ハーリーは、新しい家庭教師のアカザがいない日は、こうして此処で勉強をサボっている。
・・・いや、アカザがいる時でも時々は・・・。


「今日は雲の流れが速いな、僕も風邪などひかないようにしよう。風邪をひいたって、もうシュレイツは僕の看病をしてくれはしないのだから」

シュレイツは医学も学んでいて、医師としても立派にやっていける程の秀才でもあった為、ハーリーが病気で寝込んでしまったなら、いつも付きっきりで看病してくれていた。彼がいなくなってからは、風邪でもひいた時には怖い医者が来て、尻に痛い注射を二本も打たれてしまう、酷い思いをした事もある。


シュレイツなら、とてもよく利く薬草を積んできてくれて、苦しくならないように薬湯の中にははちみつを溶いて飲ませてくれるのだが・・・・・。

「シュレイツ・・・・・」





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