山田さん的非日常生活
…知らないのはあたしだけだったってことか。

それを知ってさらに気持ちが重たくなった。

俯くあたしの頭に、梢さんのため息がかかる。


「…あのさぁ。こっちにまで根暗が移るからやめてくんない?」

「根暗って…」


バイト仲間が落ち込んでるんだから、もうちょっとかけるべき言葉があるだろうよ。

まぁかつては…というか今もライバル視されてるわけだし、梢さんがあたしをよく思っていないのもわかるけど。


自動ドアが開いたり閉まったりしては、白いナイロン袋を提げたお客さんが出て行く。

その中には、駐車場の隅でしゃがみ込んでいるあたしたちに怪訝な表情を向ける人もいた。


「…梢さんは、」


冷えきった唇をゆっくりと開く。


「遠距離恋愛って続くと思う?」


…しかも日本とアメリカ。飛行機時間で一体どのくらいになるんだろう。

海外なんて行ったことないから、想像もつかない。


「…山田はどう思うの」

「………」

「キョリが離れたからハイもう駄目って、アンタの気持ちはその程度なわけ?」


梢さんの目力の強い瞳を間近に突きつけられ、思わず息を呑む。

…そんなこと思わない。思いたくない。

でもあたしとカボの住む世界は違いすぎて、不安を拭うことができない。


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