背中越しの笑顔
第一章「始まり」
「はぁぁああ……!」
うーんよく寝たな… 今日もいい天気そして今日で単位取れないのが決定か…
どう考えても朝弱いんだよな…誰かどうにかしてくれないかな…
兄さん、起こしてくれてもいいのにな。試しにこの間言ってみたら…
「ふ、俺はお前の目覚ましになるつもりはない。起きたいなら一緒の布団で寝るか?」
と、まぶしい笑顔でいってきたから断ったんだよな…
い、いや断ってなかったらそれでいて危ないよな、確実に人間として何かを
失うことになりそうな気がしてならない。あの兄さんだもんな…
「母さん、父さんおはようございます。」
台所の机においてある写真立てに挨拶をしながら朝食を作り始めた。
まぁ今からなら十分次の時間の授業は間に合うだろうよ。
さぁてご飯も食べたし顔を洗って、行くとしようか。
母さん、父さんいってくるよ!!卒業できるかわからないけどね!
きっと天国で怒っているだろうな二人ともそんなことを思いながら
我が学び舎にのんびりと向かうことにした。
ちゃんと鍵を忘れないように、キャラクターのキーホルダー付きの鍵を持ち、玄関へと向かっていった。
「ん?」
玄関に一枚紙が落ちていた。その紙には、
「今日は遅くなるからご飯はいらないから一人で食べてくれ。お前の愛しい兄より」
と丁寧な字で書かれていた。
その紙を読み終わるか終わらないかのところで丸めて廊下へ投げた。
誰が愛しい兄なんだかな…
親ともう呼べる人はいない。
あの事故が起きてから、兄さんと二人で今まで生きてきた。
そう
家族と呼べる人は俺と兄さんの二人だけだ。
親戚の人はいるが一応は家族というのかは不明なのでやはり二人だけだ。
生活は父さんたちが残してくれた財産や親戚のおじさんたちの援助で今までやってこれた。
それがなかったら俺たちはきっとだめだったろう。
俺はお世話になった人に恩返しがしたいと考えている。
そんな俺なんだがな…
「あはは」
もう笑うしかないな。ちゃんと大学卒業できるかな。
そんなことを考えながら学校へと向かうのであった。
「っと、その前にご飯を食べていかないと。」

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