いつかの花。
時震
「ほれ、起きなされ」
ペチペチと、頬を叩かれる感触がして、意識が覚醒した。
反対側の頬と首筋にかすれてる何かがあって、それがひどくこそばゆい。
もう一度、頬をペチペチと叩かれた。
冷たい手。
その冷たさで、やっとまぶたが緩んで、光が目に飛び込んできた。
「まぶしっ……」
白いと思ったのは、太陽の光。
手を突いて起き上がったら、手のひらに柔らかな草の感触がした。
さっきこそばゆいと思ったのは、きっとコレだ。
「おお、起きたか」
すぐ近くで、男のものと思われる低めの声がした。
そういえば、冷たい手の人!?
バッと左側へと振り向くと、にこにこ笑った男の人がいた。
「え……?」
戸惑ったのは、男の人がいたからじゃなかった。
いや、それも確かに驚きはしたけど。
一番に驚いたのは、その人の服装だった。
水色の長袖の上着とおかしな形の冠とを身につけているところまではいい、けど……。
なんで、水色のスカート!?
いや、下にちゃんと白のズボン履いてるけど……けどっ!