せんせい、あのね
職員室に寄り、
音楽室の鍵と日誌を持つ。
役員に実莉達を指名した
顧問の山村先生は
春に転勤で、
別の中学へ行ってしまい、
今の顧問は、
宏子先生という女性だけ。
宏子先生は、
山村先生ほどの
人望もなく、
どちらかと言えば
みんな少し嫌っている。
職員室を出ようとした時、
宏子先生に呼びとめられる。
「愛ちゃん、実莉ちゃん」
「突然だけど、
明日から新しく音楽の先生が
お見えになるの。
吹奏楽部の顧問も
して下さる事に
なっていて、
今日先に部活に
来て下さるからよろしくね」
ちゃん付けで呼ばれた事を
少しうっとおしく
感じながらも、
実莉も愛も
新しい先生という言葉に
期待と不安を膨らませた。