始まりと終わりの間
あのまま隆也が元カノとの関係を言わなければ、アタシは付き合ってたかもしれない。

でも、付き合った後から事実を知らされたら、どうだろう?

『過去の話だから』

そう笑って言えるだろうか?

『今はアタシが彼女よ』

って思っていても、ずっと元カノの存在を気にしてしまわないか?

涙を拭き、冷蔵庫からビールを出して飲んだ。

「梓の性格を知ってるから、今の俺の事を話したんだよ…」

少し困ったような表情で隆也が言った。

素直に、正直に伝える事が、全ていい方に向かうとは限らない。
自分にとって不利になる事もある。

隆也がアタシに話したのは、打算した結果なんだろうか?

それとも、単なる"バカ正直"なんだろうか?

「ちょっと電話する」

急に携帯を取り出し、どこかにかけている。

「…あ、俺だけど…もうお前とは辞めるわ」

女の…元カノの声が、アタシにまで漏れて聞こえる。

「名前?言う必要ねぇだろ」

元カノ、怒ってる。
そりゃそうだ…

前の日に隆也の家にいたんだから。
急にこの話じゃ納得出来ないよな…

自分の都合で別れたのに、その人と関係を持つなんて…

元カノだって期待するよ…

『ヨリを戻せるかも』って…

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