始まりと終わりの間
隆也は電話に出ようともせず、帰ろうともしない。

好きな人となら、もっと一緒にいたいと思うけど、今は違う。

こうも気持ちが変わるだろうか…

チャラ男から助けてくれた時は
"アタシの彼は身近にいたんだ"
と、心底思った。

あまりにも近い距離だったから、好きな気持ちにも気付かなかったんだと…

でも、今この姿を見ると、勘違いしてたんだ、錯覚してたんだと思った。

「何で分からねぇかなぁ…
アイツ…別れる時、俺ちゃんと話したんだよ。好きな人が出来たら、もう会わないって」

何で分からないは、アンタだよ…隆也…

「分かったって、アイツ言ったのに…」

「隆也…ヨリ戻したら?」

「は?俺ヨリ戻すつもりなんてない。梓と付き合いたいんだ」

アタシは首を横に振った。

「悪い…アタシは付き合えない。別れても関係を持てるなんて…」

「だから俺ちゃんと…」

「無理なんだって!」

隆也…アンタも元カノが忘れられないんだよ。
本当に元カノと切りたいなら、あんなに電話に時間かからないはず。

それにアタシも女だから、元カノの気持ち分かるもん…

別れても好きなんだよ。
好きだから、体だけの関係になっても離れたくないんだよ…

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