始まりと終わりの間
寝苦しくなって起きた。
まだ眠いから目がちゃんと開かない。

何で服着たまま?
どうりで、苦しくなる訳だ…

まずは服を脱いで―

あれ?
ここ…どこだ?
っていうか携帯は?

昨日、何したっけ?

自称金持ちチャラ男とゴハン食べて、少しドライブしたけど、あの舌足らずな話し方に耐えられなくて…

で、隆也が来て…


あーッ!
隆也の部屋じゃん!

眠気も一気に吹っ飛んだ。
慌てて服を着る。

リビングに行くと、隆也が起きていた。

「おはよ…ベッド勝手に借りてた。ゴメンね」

「別にいいけど…お前の…朝からうるせぇよ」

そう言ってテーブルの上にある携帯を指差した。

見るとメールばかり30件。
バイブにしてても響いて気になったらしい。

「ごめん」

隆也が立ち上がると、冷蔵庫から飲み物を取り出し、アタシに手渡してくれた。

「梓はコレ好きだよな」

覚えてたんだ…
アタシの好きなレモンティー

「ありがとう」

せっかくアタシに渡してくれたのに、すぐに取り上げられた。

「ちょっと…」

隆也がキャップを開けて
「ほらよ」
と渡してくれた。

「その爪じゃ開けられないんだろ?」


レモンティーを飲みながら受信メールを見てみると、どれもこれも過去に会った人ばかりだった。

『次はいつ会える?』

『来週ヒマ?』

こんなのばっかり。

会って何するのよ?

アンタ等が期待するような事は絶対にしない!!

「梓どうした?眉間にシワ寄せて。睨みながら携帯見てるの、かなり変だぞ」

タバコを吸いながら、アタシの様子をずっと見ていた。

「うん…何でもない」

ふーん…
探るようにアタシを見てる。

「何よ」

「いや…」

視界からアタシを外し、そのまま寝室に行った。

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