愛し方も知らず僕等は
#2



家に帰ってきたあたしは、今にも泣きそうな顔をしていただろう。
こういう時に限って、親は家にいなくてひとりぼっちなのがさらに寂しくさせた。普段なら家で一人なんて、逆に嬉しいのに。

あの人が好きだと気付くと、つらさが溢れ出てきた。何故だか切なくてたまらなかった。あたしにとっては大事な人でも、きっと向こうはあたしを客としか思っていないのだ。

あたしは自分の部屋へ入り、窓を開け、カーテンを少し閉めた。風でカーテンはゆるやかになびいている。少し冷たい風に、あたたかな夕陽が気持ちよくて、あたしは、ずっとあの紙を握っていた右手をゆっくりと開いた。
ずっと強く握っていたからか、くしゃくしゃになってしまっている。もっと、優しく握っていればよかったかな。
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