小悪魔★boy
『お前ほど性格悪い女、はじめてみたよ』
俺が嘲笑を浮かべると、
彼女は振り向き様に、それに反して
すがすがしいほど、屈託の無い笑顔を向けてきた。
『お互い様でしょう?』
お互い様?
一緒にすんじゃねぇよ。
去って行く彼女の背中はあっというまに
階段の向こうに消えて行った。
『惨敗だな、遥。』
悠々と傍観者決め込んでいた美波は
三本目の煙草を吹かしながら
座り込む俺の肩を叩いた。
『惨敗……?』
冗談じゃねぇよ。
『まだ終ってない。』
あぐらをかいて、膝に頬杖をつきながら
彼女が下りて行った階段を眺める。
『そう言うと思った。』
美波は溜め息と一緒に
最後の煙を吐き出す。
『気にくわねぇ、あの女……』