Frist time
ほっとしたのもつかの間、俺は携帯で時間を確認してぎょっとした。
やばい、ちょうど宏との約束の時間になっている。
「手!」
突然差し出された俺の手を、玲菜は何の疑いもなく、むしろ嬉しそうにぎゅっと握る。
「玲菜、悪りぃんだけど…
走るから!」
「え?ちょっと、翔っ?!」
俺は玲菜の言葉を最後まで聞かないうちに、固く繋がれた玲菜の手を引き、宏の元へと走り出した。
宏はもう行ったか?
せっかく玲菜と想いが通じあったのに、あいつを笑顔で送るって決めたのに。
「玲菜!
まだ頑張れるか?」
「・・・っうん!
大丈夫!」
本当はきついのに、無理してるのが嫌でも分かる。
でも、今だけは許して欲しい。
間に合ってくれ、とひたすら頭の中で繰り返し、玲菜と必死に走った。