短編‡よこたわるくうき。


飲みに行こう、と誘ってきたのは友人で。
先に酔いつぶれたのも、やはり友人だった。


半分寝かかっている友人に肩をかしながら、アキラは嘆いた。
足がもつれそうになって、あわててバランスをとる。


「ちょっと、マジで重いよアンタ」


文句に、友人はアキラの髪の毛をかき回しながら答えた。


「うっせぇなぁ……ひ弱なおまえと違って筋肉がついてんだよォ」
「いたた……も、こんなになるまで飲まないでよね」


痛いところを突かれた。

アキラの身長は163センチしかなくて、それはこの友人とそう変わらないのだが、体格がまったく違った。


友人は格闘技でもやっているかのように筋肉隆々だが、アキラは特になにをやっているというわけでもない。

手も小さいし、全体的に細すぎる印象を受ける。
大きいのは、黒々とした眼だけだ。

おまけに猫っ毛。
柔らかすぎるから、雨の日は大変。


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