INCOMPLETE A PICTURE BOOK
「……」
緒方は何も言わない。
だから潤は言葉を続ける。
「どれだけの人がこの空間に来ても、叶う願いは一つだけ。2人で行っても一つだけ」
悲しい。
騙されていたことも。
全部全部。
「先生にも叶えたい願いがあるんだよね?」
もうその可能性しか考えられない。
「……あぁ」
緒方は頷いた。
これでちゃんとあたしの願いを聞いてもらえる。
そんな気がした。