男装人生



「樹里ちゃん、短い間だったけど、お世話になりました。ホントにありがとう。」


うわぁ~面と向かって言うと恥ずかしいな。



お別れの独特なしんみりとした空気が流れる。


「畏(カシコ)まって何言ってるのよ。また、必ず遊びに来て。・・・昨日の約束も忘れないでよね。」



「うんっ‼」


好きな人ができたら、真っ先に樹里ちゃんに教えるんだ。
そして、初めての恋バナをするんだ。




「・・・凛さま、いってらっしゃい。」


「・・・うん。じゃあね。」


樹里ちゃんと凛は相変わらずな会話。
だけど、きっと二人はいつもこうして別れているのだろう。

昨日の樹里ちゃんの気持ちを聞いたせいか何とも言えない気持ちになる。



ハルやミッキー達もそれぞれにお別れしていた。
ハルなんか、莉歩ちゃんと離れるのが本当に寂しそうだ。


「・・・後、3分。」


「うおっ、やべっ。行こーぜ。んじゃ、またな~」


「メールするねぇ~」


私達は急いで列車へ駆け込んだ。
窓際の席に座り、皆に手を振る。


ポーっと汽笛の音が鳴り響き、名残惜しいような寂しさを感じながら、この町を後にした。



旅は道連れ世は情け。

私はきっとこの3日間の事を忘れないだろう。


楽しい思い出を記憶に刻み込んだ。

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