妖魔06~晴嵐~
たまりにたまった闇の矢を飛ばす。

離れるよりも早く、闇の矢が夢魔の胸を射抜いた。

夢魔が消える事はない。

夢魔は羽ばたく事をやめて地上へと落ちていく。

俺は夢魔の元へと走り受け止めようとしたが、体が大きすぎる。

そのまま地面へと着地失敗で激突した。

夢魔は気を失っている。

俺が行ったのは、母さんが過去に闇の力によって、暗示を消すという力を使った。

暴走の定義はコアが破壊して、魔力があふれ出る事にある。

夢魔のコアはヒビが入った程度の物だったのかもしれない。

暴走も消えていればいいのだが。

「くそ」

早くしなければならないのに、気を失われるのは不味い話である。

周囲から大妖魔が襲ってくる。

「魔力借りるぜ」

闇能力を解除し、左腕で夢魔の魔力を吸収する。

「悪いな、俺は俺の大切な物しか救わない」

操られているとしてもだ。

闇の矢は集中力も必要になってくるし、時間がない。

守る時は守る事に集中しなければ、完全なる死を迎える事になる。

「くたばれぇぇぇぇぇ!」

右手から光の波動が放たれる。

周囲を燃やしつくし、消し続ける。

闇の力が中規模の兵器であるならば光は大規模なマップ兵器というところだろう。

美咲達の位置は把握しているから問題ない。

ある程度の大妖魔達を光で燃やし続け、周囲は広くなった。

「油断はするなって事だな」

敵に気をつけながらも夢魔の様子を探る。

「おい、いい加減に起きてくれ」

大きな顔の頬を叩いて起こそうとする。

「ん」

瞳が少し動いたような気がした。
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