still



「…二宮」



あたしがいるとは思わなかったのか
驚いた顔をしている二宮は
汗で少し髪が濡れていた。



「どうしたの?部活は?」

「終わったから制服なんだろ」

「なにしに来たの?」

「忘れ物」

「ふーん」

「お前は?なんで部活もしてないのにこんな時間に学校いんの?」

「担任に呼ばれてた」

「へぇ」



そこで一度会話が途切れ、二宮は自分の机からノートを出してカバンに入れた。



「…じゃあな
気をつけて帰れよ」

なにか言いたげな顔で、二宮が言った。


「うん……あ!
早く帰らなきゃ!」

「何で?」

「だってこの天気、もしかしたらかみな…」




あたしが"雷"と言おうとした瞬間。





あたしの大嫌いな、地響きのような音が聞こえた。






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