still



あたしは二宮の背中に向かって叫んだ。


二宮は足を止め、体をこっちに向けた。




「今度は何?」

「あの…えっと…」

「ん?」

「わがまま聞いてくれて…ありがとう」



下を向いて、あたしは言った。
カーッと、顔が熱くなるのがわかった。







「……風邪」

「え?」

「引くなよ。
馬鹿は風邪引かないっていうから
葵衣は大丈夫だと思うけど」

「はぁ!?」

「ふはっ(笑)
…じゃあな」



最後にいつものような憎まれ口を叩いて、
二宮は小走りで帰って行った。







最後の笑顔に


ちょっとだけドキッとしたのは




あたしだけの秘密。







< 20 / 35 >

この作品をシェア

pagetop