still
あたしは二宮の背中に向かって叫んだ。
二宮は足を止め、体をこっちに向けた。
「今度は何?」
「あの…えっと…」
「ん?」
「わがまま聞いてくれて…ありがとう」
下を向いて、あたしは言った。
カーッと、顔が熱くなるのがわかった。
「……風邪」
「え?」
「引くなよ。
馬鹿は風邪引かないっていうから
葵衣は大丈夫だと思うけど」
「はぁ!?」
「ふはっ(笑)
…じゃあな」
最後にいつものような憎まれ口を叩いて、
二宮は小走りで帰って行った。
最後の笑顔に
ちょっとだけドキッとしたのは
あたしだけの秘密。