still
「俺カバン取りに行ってくる」
二宮はそう言って
あたしを残して空き教室を出ていった。
二宮がいなくなってからも
あたしの心臓は高鳴ったままだった。
正直 司くんのことを思い出すと
やっぱり胸が痛くて
泣きそうになるけれど
今のあたしの頭の中は
司くんのことより、二宮のことで
いっぱいいっぱいだった。
あたしがピンチなとき、
いつも不器用な優しさをくれる二宮に気づかないフリなんて
もう出来ない。
「葵衣」
名前を呼ばれて振り向くと、そこにはあたしと自分のカバンを持った二宮がいた。
「帰ろうぜ。
また送ってってやるから」
「いい。1人で帰れる」
「黙って送られてろ」
「…うん」
「あれ。意外と素直」
二宮が笑う。