still
ぶっちゃけ1人で食べるのは寂しかったから、
あたしは正直二宮が来てくれたことが嬉しかった。
普段は生意気でむかつくけど、
あたしは二宮のことは嫌いじゃない。
どちらかと言ったら趣味は合う方で、
あたし達は一緒にお弁当を食べながら
好きな漫画とかテレビ番組の話で盛り上がった。
だから、いきなり、
「お前さ、好きな人はいないの?」
って真面目な顔で聞いてきたときは、心底驚いた。
「い、いきなりなに」
「いや別に。
葵衣のそういう話聞いたことないから」
そりゃそうだよ。
溝口くんのことを好きなことは
女友達にすら言ってないんだから。
「二宮には関係ないっ」
「ふーん いるんだ」
「なんでそうなるの!?」
「いるんだろ」
「う、」
いつものバカにしたような顔じゃなくて
真剣な顔で言うもんだから、
あたしはちょっとたじろいだ。
「まぁ知ってたけど」
「え?なに?なんか言った?」
「なーんもっ」
なんて言ったかは聞き取れなかったけど
いつもの表情に戻ったから、あたしは少し安心した。